2012 年 27 巻 3 号 p. 269-272
要旨:〔目的〕感覚入力の制限された環境下で頭頸部アライメントの変化が重心動揺に及ぼす影響を検討した.〔対象〕健常な成人男性10名とした.〔方法〕運動課題は開脚10 cmの立位姿勢を20秒間保持するものとした.感覚入力の制限は,感覚を制限しない条件,視覚系を制限した条件,体性感覚系を制限した条件,体性感覚系と視覚系を制限した条件を設定した.頭頸部アライメントは,頸部中間位,頸部屈曲位,頸部伸展位の3種類を設定した.感覚入力制限の各条件において頭頸部アライメントが重心動揺に及ぼす影響を検証した.〔結果〕体性感覚系と視覚系を制限した条件では,頸部を伸展位にすると他肢位よりも重心動揺が大きくなった.〔結語〕感覚が複合的に制限される条件ほど,姿勢保持において頭頸部アライメントの重要性が高くなることが示唆された.