抄録
〔目的〕術後の変形性股関節症(変股症)患者に対し,踵接地を意識させた部分荷重歩行訓練が股関節外転筋筋活動に及ぼす影響を表面筋電図を用いて検討することである.〔対象〕変股症患者10例と健常者10例とした.〔方法〕積分筋電図解析とwavelet周波数解析を用い歩行時に踵接地を意識した歩行と意識しない歩行とで,中殿筋の筋活動の程度を示す指標を比較した.〔結果〕歩行時に踵接地を意識することで変股症患者の中殿筋における筋活動の程度は有意に増大した.〔結語〕踵接地を意識させた歩行訓練は,股関節外転筋の量的及び質的トレーニングに有効な手段となり得る.