2014 年 29 巻 6 号 p. 911-915
〔目的〕高齢者のスクワット動作時の下肢関節運動の特徴について調べた.〔対象〕60歳代と70歳代の健常高齢者19名(平均70.5歳).〔方法〕閉眼スクワット動作時の下肢関節運動の反応時間,最大屈曲または背屈角度,最大膝間距離,足角と重心変化を計測した.〔結果〕関節間および年代間に反応時間の差は認められなかった.70歳代の膝関節屈曲角度は60歳代に比べ有意に小さかった.膝間距離は拡大していたが,年代間に差は認められなかった.60歳代では膝関節,70歳代では股および膝関節に下方重心変位との間に有意な相関が認められた.〔結語〕健常高齢者のスクワット動作時の膝関節角度は小さく,膝関節は内反する可能性が示された.健常高齢者に対しスクワット動作を行う時,矢状面のみならず前額面上の運動も考慮する必要がある.