2015 年 30 巻 1 号 p. 41-45
〔目的〕片麻痺患者が歩き始める足の選択によって生じる運動学的・運動力学的違いを,動的安定性と効率性の視点から分析すること.〔対象〕片麻痺患者15名とした.〔方法〕非麻痺側から歩き始めと麻痺側から歩き始めを三次元動作解析装置で計測し,各動作間の推定質量中心位置などを対応のあるt検定にて比較し,圧中心移動量と質量中心前方速度の相関係数をピアソンの相関係数にて分析した.〔結果〕先行肢を非麻痺側とする方が麻痺側を先行肢とした際と比べ,推定質量中心位置の左右移動が有意に小さく,前後移動は支持基底面を超えるほど有意に大きく,圧中心の後方移動量と質量中心前方速度の相関係数が有意に大きかった.〔結語〕非麻痺側を先行肢とする歩行は前方向に不安定だが,効率的に質量中心が前方に移動することがわかった.