2015 年 30 巻 3 号 p. 439-443
〔目的〕脳卒中患者の下肢痙縮に対するBoNT-A投与が立位および歩行パラメータに及ぼす影響を検討した.〔対象〕脳卒中発症後6ヵ月以上が経過している24例とした.〔方法〕BoNT-Aは足部の状態に合わせ,総投与量300単位になるよう腓腹筋,ヒラメ筋,後脛骨筋,長趾屈筋,長母趾屈筋に投与した.投与前,投与4週後に足底圧分布計を用いて立位および歩行パラメータを測定した.〔結果〕静的立位における麻痺側足底接地面積の増大,足底圧中心位置の正中化が認められた.歩行時に重複歩距離増大による歩行速度増加が認められた.〔結語〕下肢痙縮に対するBoNT-A投与は,立位バランス・歩行能力の改善に有効である可能性が示唆された.