2015 年 30 巻 6 号 p. 933-937
〔目的〕車椅子からベッドへの移乗課題を用い,介助を基準に被介助者の遂行レベルを査定する評価法の妥当性を行動論の視点から検討した.〔対象〕施設介護職員および入所中の認知症を有する高齢障害者とした.〔方法〕介助者の4段階の介助系列をもとに6段階の遂行レベルを設定し,各単位行動が遂行されたときの介助を遂行機会ごとに図示し,介助の経時的変化を被介助者の遂行レベルの推移の視点から分析した.〔結果〕被介助者による遂行過程は単位行動ごとに異なった遂行レベルを推移しており,従来のADL評価法とは視点の異なる情報が得られた.〔結語〕本評価法により,被介助者の遂行レベルと適切な介助者の介助を決定する上での目安となる情報を得ることができると考えられる.