2016 年 31 巻 6 号 p. 897-905
〔目的〕日常生活動作(ADL)に介助を要する入院・入所高齢者において,下位項目の難易度からADLの特性を明らかにすることとした.〔対象と方法〕入院もしくは入所中の高齢者111名とした.食事,排泄,移乗,移動の4動作を,各動作を分解してできる全141の下位項目から成る評価表で評価した.項目毎に3件法で難易度を求め,動作間で比較した.また,難易度の階層に沿って下位項目を並べ,難易度の特性を検討した.〔結果〕食事の動作は他の3動作よりも有意に難易度が低かった.高い立位バランス能力が必要な下位項目において,そうでない項目と比べ難易度が高かった.〔結語〕基本的ADLに介助を要する入院・入所高齢者のADLは動作によって難易度が異なる.同じ動作の要素間でも難易度が異なることにも留意すべきである.