2016 年 31 巻 6 号 p. 911-914
〔目的〕突起物を踵に貼付することにより初期接地位置を教示し,その際の歩行時下腿筋活動について検証した.〔対象と方法〕健常成人12名とした.突起物を踵の3点(内側,外側,後方)に貼付した突起物有り条件と,何も貼付しない突起物無し条件の計4条件を設定し,初期接地の際に突起物を踏むように意識して歩行させた際の遊脚期における下腿筋活動を比較した.〔結果〕突起物無し条件と比較し,突起物有り条件において前脛骨筋および長腓骨筋の筋活動が有意に増大した.遊脚期を5%ごとに分けた周期ごとの比較では,どの周期あるいはどの筋においても有意差は認められなかった.〔結語〕突起物により特定の踵部位で接地するため,予測的に遊脚中の足部動態を制御したことが示され,認知的トレーニングへの応用につながる可能性が示唆された.