2017 年 32 巻 1 号 p. 123-127
〔目的〕先行研究によって報告されている,Seated Side Tapping test(SST)と移動能力との間の有意な相関をもたらす理由を明らかにするため,SSTと移動能力に共通する身体機能項目を明らかにすることとした.〔対象と方 法〕対象は若年者の健常女性27名とした.横断研究により得られたSSTおよび移動能力と,体幹筋力,下肢筋力,上下肢運動速度,柔軟性および座位バランスとの関連性を分析した.〔結果〕SSTと移動能力の両者に関連性のあった身体機能項目は,体幹伸展筋力,膝関節伸展筋力,足関節底屈筋力,上下肢運動速度であった.〔結語〕SSTと移動能力との関係は,これらのそれぞれと,体幹機能に加え,下肢筋力や上下肢の運動速度との関係によって,生じている可能性が示唆される.