2020 年 35 巻 3 号 p. 309-313
〔目的〕周術期消化器がん患者を対象に,パンフレットでの術前運動プログラム提示の効果を6分間歩行距離(6MWD)に着目して検証する.〔対象と方法〕消化器がん患者28例に12種目の運動を提示,6MWDを含む機能評価を初回(運動導入前),術前(運動終了時),術後に実施した.初回から術前の6MWDの変化で改善,維持,低下の3群に分けて評価項目を比較した.〔結果〕10例が改善群に該当した.維持・低下群で初回を基準とした術後6MWDが有意に低下したが,改善群では有意差がなかった.改善群と比較して維持・低下群で有意に術前の体重が減少した.〔結語〕当院での術前運動プログラムは,一部の消化器がん患者で術後6MWD低下の予防に効果があったが,体重減少に留意する必要性が示唆された.