2021 年 36 巻 3 号 p. 353-360
〔目的〕加齢に伴う認知機能の低下を早期から検出し得る可能性について検証するため,抑制機能課題を高齢者と健常若年者に実施して,脳神経活動や神経機能的連関性を比較した.〔対象と方法〕対象は若年者10名と高齢者6名とした.方法は,視覚性3刺激オドボール課題を用いてERP成分を算出し,eLORETAを用いて解析した.〔結果〕抑制機能実行時は,高齢者が右側頭極や右前頭極,若年者が左楔前部や左眼窩前頭皮質を中心とした脳神経活動性を認めた.また,神経機能的連関性は高齢者と若年者の間に差異を認めた.〔結語〕脳内抑制機能に対する神経生理学的評価は,加齢に伴う認知機能低下を検出し得る可能性が示唆された.