2021 年 36 巻 3 号 p. 467-472
〔目的〕維持期脳卒中片麻痺患者にボツリヌス療法と随意運動介助型電気刺激(IVES) の併用治療の効果を検討すること.〔対象と方法〕右視床出血により,左片麻痺と高次脳機能障害が残存している症例を対象とした.ボツリヌス療法後からIVESを用いた併用療法を開始し,2ヵ月後までを関節可動域測定(ROM),Modified Ashworth Scale(MAS),Fugl-Meyer Assessment(FMA),線分末梢二等分課題,Catherine Bergego Scale(CBS)を用いて評価した.〔結果〕ボツリヌス療法施行前後でROM,MAS,FMAに改善を認めた.また,線分二等分課題とCBSの改善がみられた.〔結語〕ボツリヌス療法とIVESの併用療法により,上肢の長期的な能動的機能の改善と半側空間無視の症状の改善効果が得られた.