2022 年 37 巻 4 号 p. 363-368
〔目的〕心臓外科術後患者における入院1ヵ月前のフレイルと退院時の運動耐容能との関連を調査し,臨床介入方法の一助にすることである.〔対象と方法〕待機的に開胸術を施行された60歳以上の心臓外科術後患者32名を対象とした.入院1ヵ月前のフレイル状態は,術後に基本チェックリスト(KCL)を用いて調査した.KCL 8点をカットオフにフレイル群(11名),非フレイル群(21名)の2群に分け,退院時の6分間歩行距離(6MD),4 m歩行速度,握力,膝伸展筋力を比較した.〔結果〕入院前のフレイルの該当率は34.4%であった.フレイル群において,6MDや4 m歩行速度,握力,膝伸展筋力は有意に低値であった.重回帰分析の結果,KCLが6MDに影響する要因であった.〔結語〕心臓外科術後患者の退院時運動耐容能は,入院前のフレイルの影響を受けることが示唆された.