抄録
運動失調における能力障害の合目的解析の立場より、躯幹機能に着目し、運動失調を呈する患者13名と健常人10名を対象として坐位重心動揺の測定を行った。
坐位重心動揺実測値では端坐位・躯幹坐位とも独歩・杖歩行群と介助歩行群との間に差を認め、立位重心動揺実測値では独歩群と杖・介助歩行群に有意差を認めた。また、立位時の動揺値を基準として端坐位・躯幹坐位における動揺を、相対値として求めた結果、正常者に比して著しく大きい群と小さい群に分類できた。動揺面積当りの移動距離を求めると、健常人では安定した姿勢で微調整をしているため非常に大きな値を示した。以上より、各肢位の結果を合わせることにより、躯幹・下肢の協調障害の関与度合が明らかになった。