8 巻 (1993) 4 号 p. 187-194
この研究の目的は、脳血管障害による片麻痺患者男性22名を対象にキャリパー法と超音波法によって全身の皮下脂肪厚を測定し、測定方法の問題点を明かにすること、さらに皮下脂肪厚分布パターンの検討を行い、片麻痺の身体組成に関する基礎的資料を得ることである。キャリパー法による全身の皮下脂肪厚値の平均値は、健側・患側とも全ての部位において超音波法のそれよりも高い値を示した。キャリパー法と超音波法による皮下脂肪厚値の間には、健側の三角筋部のみ有意な相関(r=0.6, p<0.01)がみられたが、他の全ては相関がみられなかった。以上の結果、片麻痺の全身の皮下脂肪厚値は、健側、患側ともにキャリパー法と超音波法に明かな差異がみられ、キャリパー法による測定値は、片麻痺の全身の皮下脂肪厚値を十分に反映していないことが示唆された。また、片麻痺の全身における皮下脂肪厚は、体肢の末梢部よりも体幹の中枢に向かう部位ほど厚く分布するパターンを示し、健常者を対象とした先行研究の結果と一致した。さらに、患側の皮下脂肪厚は、健側のそれよりも厚く分布する傾向であった。