理学療法のための運動生理
Print ISSN : 0912-7100
歩行開始時の床反力と再現性
江原 皓吉岩崎 健次池田 由美
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1993 年 8 巻 4 号 p. 195-199

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抄録

歩行は日常生活で重要な移動手段である.それ故,歩行開始時の運動学的分析を20名の健常成人男子に床反力計を用いて測定した.方法は床反力計の上に立位となり,信号音を聞いたら,直ちに右下肢を一歩前に踏み出すように指示し,3回試行した.この測定は床反力の経時的な変化を重心の移動が始まった時点,垂直分力の重心の移動が最大になった時点,右下肢が遊脚肢になった時点で,各分力の左・右下肢について調べ,また,その再現性についても検討を加えた.
 結果は0.2秒後に重心の移動が始まり,0.5秒後に最大となり,0.7秒後に右下肢は遊脚肢となった.上記の時点で,各試行の各分力の分散分析では有意差は認められなかった(p<005).Spearmanの順位相関係数も3試行の各比較で多くの時点で一致していた.歩行は前進運動であり,一側下肢を遊脚するため,特に立脚肢の支持性が重要であり,運動療法を行なう時,膝折れによる転倒のリスク管理に注意すべきであると考える.

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© 理学療法科学学会
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