1994 年 9 巻 4 号 p. 193-198
我々は「スタシオロジー」の観点から,明らかな神経症状のない60歳以上の高齢者82名を対象に,頭部CT所見と重心図をもとに,脳の加齢変化と直立時重心動揺との関連について検討した。その結果,大脳白質の萎縮性変化と直立時重心動揺とに有意な相関が認められ,大脳の加齢変化は,閉眼より開眼時動揺の増大と関係が大きかった。またCT上PVL(Periventricular lucency)のみられるものは,直立時重心動揺が有意に増大し,高齢者の直立時重心動揺の増大と大脳の加齢変化とが関連深いことがわかった。