1995 年 10 巻 1 号 p. 3-6
脳卒中片麻痺の歩行能力の予後予測は,歩行訓練のプログラムにおける大きな課題の一つである。そこで,歩行能力の改善が期待できる発症から1年以内の脳卒中片麻痺患者52例について,入院2週間後のデータより,3ヶ月後の平坦路歩行能力と最大努力下での歩行スピード(以下最大スピード)について,多変量解析-数量化I類-を用い予測を試みた。説明変数は年齢,発症からの期間,Brunnstrom Recovery Stage(以下B.R.S.),台からの立ち上がり,踏み出し幅,認知・代償能力の6項目である。その結果,平坦路歩行能力,最大スピードとも影響を及ぼした変数は,台からの立ち上がり,B.R.S.,踏み出し幅であり,重相関係数は0.85であった。