1996 年 11 巻 4 号 p. 185-189
我々は独立歩行可能でクラウチング歩行を呈した脳性麻痺痙直型両麻痺児に対し,歩容改善のため観血的に下肢の軟部組織解離術を実施した6例の長期経過から,術式と術前後の歩容について検討した。全症例で術前の歩容よりは改善しているが,軟部組織解離術のみでは股関節内旋歩行が残存し,減捻骨切りの適応が高い。足関節尖足に対する腓腹筋延長では足趾離地時に過剰な収縮や尖足歩行が残存し,トリプルカットによるアキレス腱延長の方が歩容がよい。腸腰筋とハムストリングの短縮が再発しやすく,大腰筋の筋力が減少する手術が望ましい。手術は,動的評価による術式の決定,年齢を考慮し,多関節アラインメントを一度に整え,多関節筋に対して実施する。術後は訓練および装具装着の徹底など術後の管理が重要である。