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陸水学雑誌
Vol. 68 (2007) No. 3 P 391-401

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http://doi.org/10.3739/rikusui.68.391

原著

 重金属の水生生物に対する生物利用性と毒性は水中での金属の存在形態に依存する。そこで,薄膜拡散勾配(DGT)法と化学平衡モデルを用いて国内の河川水中におけるニッケル,銅,亜鉛の化学種の分別(スペシエーション)を行った。具体的な方法として,市販されている標準のDGTサンプラーを河川水中に約24時間沈めて,速度論的にlabileな(生物利用可能な)金属を捕集し濃度を分析した。また,フミン物質と金属の結合モデルを組み込んだ化学平衡計算ソフトであるVisual MINTEQを用いて,pH,硬度,溶存有機物濃度などの水質パラメータから生物利用可能な無機態の金属濃度を推定した。結果として,実測したlabileなニッケル濃度の存在割合は高い地点と低い地点があり,これは全地点でほとんどが無機態として存在するというMINTEQによる推定結果との違いがみられた。実測したlabileな銅濃度の存在割合は全地点で低く,MINTEQによる推定結果と一致した。実測と推定の両方で亜鉛はほとんどが生物利用可能態として存在するという結果となった。実測値と推定値の違いが大きい地点では下水処理水中に含まれるEDTAなどの合成キレート物質の影響が示唆された。

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