陸水学雑誌
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総説
琵琶湖環流の研究史
戸田 孝
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75 巻 (2014) 1 号 p. 35-48

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抄録

 琵琶湖全体をめぐる定常的な流れである「環流」は1926年に発見された。発見当初は夏の季節風に単純に反応して生ずる流れと考えられた。しかし,1960年にこれが概ね地衡流であることが確認され,1980年代まで観測および理論的検討が精力的に進められた。環流の主体は,北湖に描ける最大の円を占める反時計回りの第1環流であると考えられ,毎年5月ごろから12月ごろまで継続的に確認できる。冬季に見出せないのは,環流の存在に成層構造が必要であるからと考えられる。運動エネルギーと有効位置エネルギーが結合した形でエネルギーを蓄積できる構造になっているため,理論的には風のベクトル場の回転および地形性貯熱効果のいずれによっても成因を説明可能であり,成因の特定にはエネルギー収支の量的評価が不可欠である。環流の全体像は概ね解明されたと考えられるが,生成維持機構の詳細や他の現象との相互関係などで,未解明の課題が残されている。

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© 2014, The Japanese Society of Limnology
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