陸水学雑誌
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宍道湖におけるアオコ発生の環境要因とその事前判別
佐藤 紗知子大城 等馬庭 章管原 庄吾神谷 宏大谷 修司
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2015 年 76 巻 3 号 p. 217-223

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抄録

 島根県東部に位置し汽水湖である宍道湖では,夏季にアオコが発生することがある。1984年から2012年までのアオコの発生を判別分析することにより、どのような条件の時にアオコが発生するのかを検討した。結果,起点月(アオコ発生の年は発生月,アオコ未発生の年は8月)の1ヶ月前の水温,起点月の塩化物イオン濃度及び起点月の2ヶ月前の塩化物イオン濃度が判別変数に採用され,89.7%が正しく判別された。
 起点月と起点月の1ヶ月前の塩化物イオン濃度のPearsonの相関が高かった(r=0.78)ため,起点月の1ヶ月前の水温,塩化物イオン濃度及び起点月の2ヶ月前の塩化物イオン濃度を判別変数に用いて判別分析を行った。その結果,86.2%が正しく判別され,起点月の塩化物イオン濃度を用いて判別した場合とほぼ同様だった。これらの結果から,アオコ発生の有無をアオコの発生の前月までに高確率で判別できることが示された。

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© 2015, The Japanese Society of Limnology
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