琵琶湖南湖で2017年9月に沈水植物の現存量(乾燥重量)の平面分布をSCUBAサンプリングにより調査した。沈水植物は52地点中40地点に出現した。南湖における全沈水植物の単位面積あたり平均現存量は54 g dry wt. m-2だった。これらの結果から,沈水植物の分布範囲の面積と現存量はそれぞれ39.7 km2,2761 tと推定された。沈水植物は13種が出現した。1地点あたりの平均出現種数と標準偏差は4.5±3.0だった。優占したのはクロモ Hydrilla verticillata とコカナダモ Elodea nuttallii で,それぞれの現存量は777 tと776 tだった。以下,センニンモ Potamogeton maackianus (556 t),オオカナダモ Egeria densa (283 t),ホザキノフサモ Myriophyllum spicatum (257 t)の順で続いた。他の沈水植物の現存量はすべて100 t未満だった。特徴的なこととして糸状藻類の現存量が大きいことが挙げられる。糸状藻類の現存量は1161 tであり,この値は,沈水植物全体の現存量の約4割に相当した。