陸水学雑誌
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琵琶湖南湖における1930年代の肥料利用を目的とした沈水植物の年間採取量の推定
芳賀 裕樹久野 実乃里井手 慎司
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2024 年 85 巻 2 号 p. 107-116

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抄録

 本研究では,滋賀県の統計資料や関係公文書等に関する文献調査と聞き取り調査によって1930年代の琵琶湖南湖における肥料目的の沈水植物の採取量の推定を試みた。調査の結果,推定に使用できるデータとしては『滋賀縣統計書』に記載された1930-38年度の南湖周辺市町村における漁獲量「藻類」(16407 ± 673 t)と滋賀県の公文書『琵琶湖利用調査』における1933-39年度の外湖(≒南湖)における肥料目的の「採泥採藻量」(14520 ± 1702 t)があることを見出した。しかし「藻類」は,漁業者としての販売目的の採取活動がほぼ存在しなかったことから何を指している値かが不明であった。それに対して後者の「採泥採藻量」は,その意味が明白な上に,滋賀県が国の水位低下計画による採取量の減少被害の算定に用いていたことから信頼できる値と考えられた。ただし「採泥採藻量」には北湖の一部での採取量と底質の重量が含まれているため14520 ± 1702 t は1930年代の南湖における沈水植物の採取量の上限値と見なすことが適当であろうと結論付けた。

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© 2024, The Japanese Society of Limnology
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