陸水学雑誌
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新造コンクリート水槽の “アク” について
佐伯 有常
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1956 年 18 巻 3-4 号 p. 118-124

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抄録

新しく造つたコンクリート池での魚の飼育は順調に行かないことが多い.これは “アク” が出るからだといわれている。即ち, セメント中の石灰その他のアルカリが原因 [1] と考えられるが, 筆者はモルタルブロツクの海水, 淡水等での浸漬試験をして, これについて吟味, 考察を行つた.
コンクリートの “アク” についてモルタルブロックの浸漬試験により次の結果を得た.
(1) コンクリートの “アク” はその固化に際し著量の炭酸を吸収すること。遊離アルカりの溶出することが原因と考えられる.
(2) この結果pHの上昇, アルカリ度の低下, カルシウムの沈澱等がみられる.
(3) コンクリート作製後1ヵ月で “アク” は少くなるが, その後カルシウムの溶出等があり, 水に殆ど影響を及ぼさなくなるのは数ヵ月後であろう.
(4) “アク” の防禦法としてはアルミニウム塩や水ガラスでの洗滌塗布よりビニールペイントの塗布が有効であろう。

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