陸水学雑誌
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阿寒湖結氷下での植物プランクトン現存量とその生残
日野 修次
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1991 年 52 巻 3 号 p. 153-160

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抄録

結氷湖沼である阿寒湖の植物プランクトン現存量の変化を調査した結果,結氷下の植物プランクトン現存量は夏期より高く,また一年を通じて最大値を示すことがあることが明らかとなった。この現象を支える要因の一つとして,秋期に増殖した植物プランクトンの結氷下での生残が考えられた。湖沼から得られた植物プランクトン試料の有光層とそれ以深での生理活性度の比較および,室内実験より得られた低温および低照度下での生理活性度や生物量の変化より,低温,低照度下では生物体に由来する有機物やアデニレート量の減少が緩慢に進み130日後にもアデニレートエネルギーチャージは0.45と光合成を行うことが可能な値であること,また水温を上昇させれば生物活性度も再び上昇するなど,結氷下でもその生理活性を充分に保持していることが明らかとなった。

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