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陸水学雑誌
Vol. 56 (1995) No. 3 P 211-220

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http://doi.org/10.3739/rikusui.56.211


琵琶湖南湖における浮遊性珪藻類と粒子状珪酸の分布,堆積物・湖水間の珪酸の交換に関する観察結果を,特に大型中心目珪藻の出現と珪酸の沈殿・再溶解サイクルとの相互関係の観点から検討した。湖水中のアルカリ可溶性懸濁態珪酸の濃度と珪藻の個体群密度との間には強い相関があり,この結果から,調査期間中の優占種珪藻Aulacoseira granulataの1細胞あたりの珪酸含有量はおよそ8pmolと見積られた。細胞あたりの珪酸含有量は珪藻の分布密度が高い場合に減少する傾向が認められた。珪藻による珪酸の粒子化速度は,窒素やリンのような栄養塩の利用可能度によって制限されているものと推測された。アルカリ不溶性の懸濁態珪酸の濃度は懸濁態チタンや懸濁態アルミニウムの濃度と密接な相関があり,主に陸起源の粒子から成ることが推測された。南湖の不攪乱堆積物コアを用いた珪藻由来堆積物の培養実験では,おそらく底生無脊椎動物による摂食を通して堆積珪藻殻の再溶解が進み,珪酸が湖水中へ回帰した。しかし北湖の不攪乱堆積物からの珪酸の湖水中への回帰は,間隙水中の溶存珪酸プールからの拡散によって支配されていた。関連する過去の研究例と著者らのデータを総合すると, AulacoseiraやStephanodiscusのような大型の中心目珪藻が,溶存珪酸の粒子化と珪酸粒子の湖底への輸送との両方の過程に主要な寄与をしているが,堆積した珪酸粒子のうちで堆積物中に永久的に固定される比率は,堆積後の諸作用の影響を強く受けているものと結論された。

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