日本臨床外科医学会雑誌
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膵頭領域癌に対する姑息手術
青木 洋三小林 康人柿原 美千秋佐々木 政一竹井 信夫川嶋 寛昭勝見 正治
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1981 年 42 巻 4 号 p. 431-436

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抄録
教室における過去10年間の膵頭領域癌70例中姑息手術に終った記載の明らかな52例の内容について,術式面から検討した. 32例は胆道バイパス術が施行されたが,このうちの10例は将来生存中に腫瘍の進展による十二指腸の狭窄,閉塞を来すであろうことが予測されたので,消化管バイパス術も同時に行われた.しかしながら胆道バイパス術が施行されながら同時に消化管バイパス術が行われなかった22例中3例に平均10カ月後に十二指腸閉塞を来し,再手術として消化管バイパス術が必要となった.このような経験から我々は,症例により手術時に明らかな消化管通過障害がなく.ても,胆摘を行ってから空腸脚を後結腸性に挙上し,胆管空腸吻合,胃空腸吻合を40~50cmの間隔を置いて行いRoux-en-Y法による再建を行って,併せて幹迷切または選迷切を附加し黄疸若しくは肝機能低下に基づく潰瘍の形成や出血を予防するようにした.我々は本術式を5例に応用したが,後刻十二指腸閉塞が発生するのを予測してこのような術式を行うことも,延命効果を上げる要因の1つと考えられる.
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