日本臨床外科医学会雑誌
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巨大な胃平滑筋肉腫の1例
川田 良得檜山 護河野 通一宮下 浩磯野 透田中 清一白石 史典上田 治江崎 昌俊平塚 秀雄山口 佳晴
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1986 年 47 巻 3 号 p. 331-336

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抄録
胃平滑筋肉腫は比較的まれな疾患であり,また特徴的な症状に乏しく無症状で経過することもあって,術前確定診断の困難な疾患でもある.最近我々は腹部腫瘤を主訴とする巨大な胃平滑筋肉腫の1手術例を経験した.症例は43歳男性で,入院の10日程前から腹部腫瘤に気づいた.腹部触診上,左季肋部から臍左下方に及ぶ児頭大の可動性のない腫瘤を触知した.胃X-Pで,胃角対側大弯に立ち上りのなだらかな,表面平滑な隆起性変化を認め,内視鏡検査ではびらんや潰瘍形成はなく,粘膜下腫瘍又は胃外性圧排と診断された.注腸X-P, IP, 腹部エコー, CT等では,腹部の大きなmassということはわかったが,確定診断がつかないまま開腹手術を行なった.手術により胃原発の肉腫が壁外性に発育していることがわかった.腫瘤の大きさは18cm×19cm×15cm, 重さ約2kgで,病理組織診断は平滑筋肉腫であった.本症例は約1年前に人間ドックの胃X-Pで胃角対側大弯の異常を指摘され,さらに胃内視鏡検査で同部の小さな粘膜下腫瘍と診断されていたが,当時は無症状でもあり,特に処置をせずに1年経過した.この間に無症状のまま急激に壁外性発育をして巨大な腫瘤を形成したものと思われる.
胃平滑筋肉腫は全胃悪性腫瘍の0.5~1%前後のまれな疾患で, 40~60歳代に好発し,男性にやや多い.好発部位は胃体上中部である.腫瘤の発育形式には内胃型,外胃型,壁内型,混合型とあり,外胃型が最も多く40~50%を占める.外胃型は症状が少なく,時に巨大な腫瘤を形成することがある.治療は手術が原則であり,胃癌に準じたリンパ節郭清を伴う胃切除が広く行なわれている.
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