日本臨床外科医学会雑誌
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超高齢者(80歳以上)胃十二指腸穿孔手術症例の検討
荒木 賢二岩本 勲竹智 義臣巴 寛中村 都英城間 勉島山 俊夫古賀 保範
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1989 年 50 巻 4 号 p. 664-669

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抄録

高齢者とくに80歳以上の超高齢者胃十二指腸穿孔手術症例の臨床像,とくに診断,治療上の問題点について検討したので報告する.対象は胃十二指腸穿孔手術症例83例で,うち80歳以上の超高齢者は7例(男性1例,女性6例,胃潰瘍穿孔2例,十二指腸潰瘍穿孔4例,胃癌穿孔1例)であった.超高齢者穿孔症例の特徴は,発症後早期の正確な診断が困難であり,そのため手術に至るまでの時間が平均40時間と長かった.従って脱水やショックにより術前腎機能障害をきたしていることが多く,併存症の合併頻度も高かった.術後の合併症も多いため治療が遷延した.術後合併症としては腎不全が最も問題であり,1例をこれにより失った.これらのことより早期に正確な診断をつけることは急性腎不全の予防と治療成績向上のために重要であると思われた.

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