日本臨床外科医学会雑誌
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乳腺分泌癌の1例
大塚 恒博金杉 和男重田 博小森山 広幸田中 一郎生沢 啓芳萩原 優品川 俊人
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キーワード: 乳癌, 分泌癌, 若年性癌
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1996 年 57 巻 11 号 p. 2677-2681

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抄録
乳腺分泌癌は極めて稀な疾患である.今回われわれは進行乳癌と診断された乳腺分泌癌の1症例を経験したので文献的考察を加えて報告する.症例は48歳女性.右乳房腫瘤触知にて来院.右ACE領域に4.0×4.0cmの辺縁不整の弾性硬の腫瘤を触知し,腋窩,鎖骨上リンパ節も触知した. CT画像上両側肺転移を認めた. T2aN3M1 (lung) Stage IVの乳癌の診断で,術前CAF療法3クール施行後, 1994年11月7日単純乳房切除術+リンパ節サンプリングを施行した.術後の病理組織所見では,一部ductal carcinomaの所見を認めるも,多数の細胞内小腺腔を形成し, PASおよびAlcian-blue染色陽性で分泌癌と診断された.本疾患は進行が緩徐であり予後が比較的良好であるという理由から諸外国では縮小手術の適応と考えられてきたが,本邦報告例では腋窩リンパ節転移陽性率は32%と比較的高く,治療として腋窩郭清を伴う手術が必要であると考えられた.
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