日本臨床外科医学会雑誌
Online ISSN : 2189-2075
Print ISSN : 0386-9776
ISSN-L : 0386-9776
腹壁瘢痕ヘルニア手術症例の検討
長尾 二郎炭山 嘉伸原 砂織斉田 芳久
著者情報
ジャーナル フリー

1996 年 57 巻 3 号 p. 533-537

詳細
抄録
最近15年間に教室において施行された腹壁瘢痕ヘルニア手術症例70例について,背景因子,前回手術の原疾患,ヘルニア発生部位,自覚症状,ヘルニア発症までの時間,術式について検討し,さらに前回手術が当科で施行された24症例の前回手術時の術前合併症(治癒遅延因子),術後経過について検討した.女性の良性疾患緊急手術症例の術後に多く,術後1年以内の発症が64.3%を占めていた.ヘルニアの要因となった前回手術時の術前合併症として75.0%に腹腔内感染,高齢者,糖尿病などの創傷治癒遅延因子の合併が見られた.また前回手術後の術後合併症として創感染が58.3%, 創離開が50.0%に見られ本症との関連が示唆された.単純層々閉鎖術が40例に施行され10%にヘルニアの再発が見られた.代用筋膜補綴術を施行した33例では再発は3.0%で,ヘルニア門の大きな症例や再発症例に対しては有効な手術術式と考えられた.
著者関連情報
© 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top