日本臨床外科医学会雑誌
Online ISSN : 2189-2075
Print ISSN : 0386-9776
ISSN-L : 0386-9776
小児甲状腺濾胞癌の1例
10歳未満の小児甲状腺癌本邦報告例の検討
大嶋 清宏石田 常博草場 輝雄坂田 一宏柿沼 臣一津田 京一郎小山 徹也
著者情報
ジャーナル フリー

1996 年 57 巻 3 号 p. 551-555

詳細
抄録
9歳男児の甲状腺濾胞癌の1例を経験したので報告する.症例は9歳男児で, 8歳時母親が右前頸部腫瘤に気付いた.初診時,甲状腺腫は右葉中下部で2.0×1.8cm大,穿刺吸引細胞診はClass IIであった. 5カ月後,腫瘤の増大傾向を認め,穿刺吸引細胞診でもClass IIIであったので甲状腺癌を疑った.甲状腺右葉峡部切除・リンパ節郭清を施行した.腫瘍は2.4×1.8×1.5cmで,病理組織学的には, follicular carcinoma, widely invasiveであった.気管周囲リンパ節に2個の転移を認めた.術後12カ月の現在,再発の徴候を認めず,外来通院中である.
10歳未満の小児甲状腺癌は非常に稀であり,自験例を含めた本邦報告の14例を文献的に集計し,その臨床病理学的特徴について分析した.
著者関連情報
© 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top