日本臨床外科医学会雑誌
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Dynamic MRマンモグラフィーによる乳腺病変の術前診断について
信号強度比のcut off値設定
土屋 十次永田 高康川越 肇立花 進梶間 敏彦星野 睦夫右納 隆下川 邦泰
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1997 年 58 巻 12 号 p. 2765-2773

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抄録

MRI診断装置を用いた乳房のDynamic studyが病変の良・悪性鑑別を数量化して客観的に評価できることを, MRマンモグラフィーを行った41症例(乳癌13例,乳腺症21例,線維腺腫症6例,乳管内乳頭腫症1例)について病理組織診断と対応して検討した.方法はDynamic studyの各時間毎の時間強度比曲線を表示し比較検討した.その結果,極めて高い有意差を以て乳癌と乳腺症の鑑別ができた(90秒以内ではp=0.0000).更に, 95%信頼区間を推定する事により造影剤投与後30秒では投与前値の1.53倍, 60秒では2.00倍, 90秒では2.47倍をcut off値として設定し,このcut off値を越えるか否かで良悪性鑑別を行う方法をDynamic ratio法として提唱した.その診断能は感度=92.3%,特異度=89.3%,陽性予知度=80.0%であり,臨床では主病巣の良悪性診断のみならず,周囲浸潤やリンパ節転移の有無の診断,乳房温存手術の切除範囲決定に適用できることを検証した.

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