日本臨床外科医学会雑誌
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術後5年再発の見られない乳腺血管肉腫の1例
村川 知弘登 政和田中 信孝鈴木 良夫大江 健二
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キーワード: 乳腺血管肉腫
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1997 年 58 巻 12 号 p. 2824-2827

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抄録

乳腺原発の血管肉腫は非常に稀な疾患であるが,その病理学的診断は困難である場合が多いとされる.その一方で悪性度は乳腺原発悪性腫瘍中,最悪とされ,診断・治療には注意を要する.われわれの経験した症例は46歳,女性で右乳房腫瘤を主訴に来院した.臨床所見・画像所見からは良性・悪性の診断がつかず, excisional biopsyを施行した.当初はcavernous hemangiomaの診断であったが,その後乳腺の血管腫ではangiosarcomaとの鑑別が必須と判明し更に検討した結果angiosarcoma of the breastの診断を得た.確定診断後,右乳房単純切除を施行し再発なく5年半生存している.乳腺原発の血管腫様病変に遭遇した場合に血管肉腫の可能性を常に考える必要があることを反省させられた症例であった.症例を報告すると共に若干の文献的考察を加えた.

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