日本臨床外科医学会雑誌
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乳糜腹水を伴った小児小腸捻転症の1例
米沢 圭横尾 直樹白子 隆志二村 学米山 哲司森 茂
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1997 年 58 巻 12 号 p. 2880-2883

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抄録

多量の乳糜腹水を伴う小児小腸捻転症の1例を経験したので報告する.
症例は13歳女児、突然の下腹部痛を主訴に来院.下腹部に圧痛・筋性防御が著明で, CT・USにて腹水を認めた.緊急手術施行したところ,多量の乳糜腹水・時計回り360度の小腸軸捻転・小腸の虚血性変化・および腸間膜と小腸漿膜のリンパ管の怒張を認めた.
小腸捻転の整復により虚血は速やかに改善したため,腸切除は要しなかった.他に移動盲腸・Meckel憩室を認め,小腸捻転の原因と考えられたため,虫垂切除術および憩室切除術を併施した.術後の経過は良好で, 13日目に退院,約4年経過する現在も再発は見られない.乳糜腹水発生の原因は不明であるが,移動盲腸の存在が小腸捻転を誘発し,小腸のリンパ流が障害された結果,乳糜の漏出を来したものと考えられる.

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