日本臨床外科医学会雑誌
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右半結腸切除術後の難治性回腸皮膚瘻に対し,局麻下の二層の局所皮弁術が有効であった1例
伊藤 誠二加藤 知行平井 孝紀藤 毅中山 敏
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キーワード: 小腸-皮膚瘻, 局所皮弁術
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1997 年 58 巻 12 号 p. 2887-2890

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抄録

右半結腸切除術後の難治性回腸皮膚瘻に対し,二層の局所皮弁術を用いてその閉鎖を図り,良好な結果を得たので報告する.
症例は78歳男性.腹壁浸潤と回腸浸潤を伴う上行結腸癌に対して,右半結腸切除,腹壁,回腸合併切除術を施行.術後,正中側に小腸瘻を形成,長期間にわたり絶食,中心静脈栄養管理を行い,腸瘻からの排液の減少,停止をみたが,経口摂取を開始すると瘻孔が再発し,最終的に閉鎖が得られなかった.瘻孔形成後6カ月を経過し,保存的治療の限界と判断,再手術を施行.局所麻酔下にdoor flapにより腸瘻を閉鎖,新たに生じた皮膚欠損をrhomboid flapで被覆し,二層の局所皮弁術により瘻孔閉鎖を図った.術後1カ月で経口摂取を開始,瘻孔の再発なく治癒,退院した.

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