日本臨床外科医学会雑誌
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非機能性膵内分泌腫瘍の2例
田嶋 勇介上野 信一才原 哲史今給黎 和典愛甲 孝草野 満夫
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1997 年 58 巻 12 号 p. 2953-2957

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抄録

比較的稀な非機能性内分泌腫瘍の2例を経験した.症例1は38歳男性.背部痛を主訴に来院.精査にて膵体尾部を中心に巨大でhypervascularな腫瘤を認め,胃,脾・後腹膜・左腎への浸潤及び右腎への転移が見られた.開腹下生検を行い,非機能性膵内分泌腫瘍の診断を得た.術後1年6カ月担癌生存中である.症例2は34歳女性.人間ドックで膵腫瘤を指摘され当院受診.精査にて膵鈎部に約3cmのhypervascularな腫瘍を認めた.膵頭十二指腸切除術を施行し,非機能性膵内分泌腫瘍と診断した.
さらに上記2例と当院の剖検例で偶然発見された,カルチノイド・グルカゴノーマを併せて病理学的検討を行い,症例1については有意な単位面積当たり細胞数の増加,症例2については明らかな核の増大が認められた.

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