日本臨床外科医学会雑誌
Online ISSN : 2189-2075
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乳癌予後因子としてのbcl-2蛋白発現
p53蛋白発現との比較
吉田 明大澤 やすよ麻賀 太郎河原 悟中村 圭靖清水 昭男原田 昌興
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1997 年 58 巻 3 号 p. 507-512

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抄録

乳癌組織におけるbcl-2蛋白発現の臨床的意義を明らかにするため,乳癌130例を対象に免疫組織化学的にbcl-2の発現を調べ, p53蛋白発現,臨床病理学的因子,臨床経過との比較を行った. bcl-2の発現は130例中81例にみられ, ER陽性例に有意に多く認められたが(p<0.0001), その他の因子とは有意な関連を認めなかった.術後平均観察期間は38カ月と短いが, bcl-2陽性例の健存率,生存率は陰性例に比べ有意に高いものとなっていた(p=0.0001, p=0.0006). 多変量解析では, bcl-2はp53と共にn因子に次いで有意に健存期間,生存期間と関連しており,独立した予後因子となり得るものと考えられた.またbcl-2とp53を組み合わせることによりn(-)例における再発をより的確に予測することが可能と考えられた.

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