日本臨床外科医学会雑誌
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重症筋無力症に併存した後腹膜原発Castlemanリンパ腫の1例
国枝 克行竹村 茂之加藤 元久杉山 保幸村瀬 全彦下川 邦泰佐治 重豊
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1997 年 58 巻 3 号 p. 672-676

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抄録

重症筋無力症を伴う後腹膜原発Castlemanリンパ腫の1例を経験した.症例は57歳男性で主訴は嚥下障害と構音障害である. 1986年6月頃より上記症状が出現し当院第1内科を受診し,重症筋無力症と診断された.入院後の腹部CT検査,超音波検査にて後腹膜腫瘍を指摘され,手術目的で1987年1月6日に当科へ転科した.開腹すると左腎内側の後腹膜腔に58×48×30mm大の,可動性良好で血管に富む腫瘍が認められた.また腹部大動脈からの流入動脈と,左精巣静脈に流入する流出静脈を認めた.他に肝血管腫,右腎血管脂肪筋腫,左腎嚢胞が併存していた.病理所見では硝子化を伴う大小のgerminal centerと毛細血管の増殖を伴うリンパ節様組織でありhyaline-vascular typeのCastlemanリンパ腫と診断した.重症筋無力症を伴った本症の報告は極めて稀で,調べた限り自験例は4例目である.術後自覚症状は若干改善したが,他覚的所見の改善は認められず,両疾患の因果関係は不明であった.

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