1998 年 59 巻 2 号 p. 501-505
症例は80歳,女性.腹痛を主訴に当院入院.腹部CTで膵頭部の腫大と腹水を認めた.膵癌末期として保存的に経過を観察されたが,腹水が増加し,腹水穿刺を行ったところ胆汁が吸引されたため,経皮的腹腔ドレナージを行った.全身状態の改善を待ってERCPを行い,胆嚢結石を認めたものの,膵に異常を認めなかったため手術を行った.胆嚢頸部で直径1cmの穿孔を認めた.胆嚢壁には著変を認めず,胆嚢摘出術を行った.摘出標本では胆嚢の粘膜面はほぼ正常で,病理組織学的にも炎症性変化に乏しく,血管性変化も認められなかった.以上より特発性胆嚢穿孔と診断した.