日本臨床外科学会雑誌
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脾腫瘍13例の検討
森田 克哉山村 浩然石黒 要石川 暢己小島 一人持木 大和田 真也中村 寿彦八木 真悟山田 哲司北川 晉中川 正昭
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1999 年 60 巻 12 号 p. 3106-3110

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抄録

脾腫瘍は原発性,転移性ともに比較的稀な疾患である.今回,当科で経験した13例について臨床的に検討を行った.原発性腫瘍は11例であり,リンパ管腫4例,血管腫1例,過誤腫1例,悪性リンパ腫3例,血管肉腫2例であった.転移性腫瘍は2例であり,原発巣は卵巣癌,胃癌各1例であった.症状は原発性良性腫瘍では巨大なリンパ管腫例で脾腫よる心窩部不快感,血管腫例に破裂を認めたが,残り4例は偶然に発見された.原発性悪性腫瘍では5例すべてに症状を認めたが,転移性腫瘍の2例は腫瘍マーカーの上昇が発見の契機となった.術前診断は原発性良性腫瘍6例中4例で悪性病変との鑑別がつかなかった.原発性悪性腫瘍5例中4例,転移性腫瘍は2例とも術前診断可能であった.脾腫瘍は術前の質的診断が困難であり,良性腫瘍であっても自然破裂によるショック例もあることから,現時点では,すべてに手術適応があると考えられた.

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