1999 年 60 巻 12 号 p. 3139-3142
症例は69歳の女性が胸部X線の右下肺野に異常陰影を指摘され,当科を受診した.術前に経気管支肺生検(TBLB)とコンピューター断層撮影(CT)ガイド下肺生検を施行したが確定診断が得られなかった. 1998年1月19日,胸腔鏡下に生検を施行し,迅速病理検査にて肺癌と診断されたため,右中下葉切除とR 2aのリンパ節郭清を施行した.術後病理検査によりB 5b末梢の気管支から発生したと考えられる肺粘表皮癌と診断された.
末梢発生する肺粘表皮癌はまれであり頻度の高い中枢発生とは臨床像が異なるので,診断に留意する必要がある.