日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
慢性腎不全合併大腸穿孔の1例
福井 貴巳横尾 直樹加藤 達史東 久弥白子 隆志山口 哲哉
著者情報
ジャーナル フリー

1999 年 60 巻 12 号 p. 3219-3223

詳細
抄録

S状結腸に穿孔をきたした慢性血液透析の1例を経験したので報告する.患者は66歳の男性で,慢性腎不全に対して血液透析が導入されていた.突然の下腹部痛をきたし直ちに当院受診.腹部全体に圧痛・反跳痛・筋性防御著明で,胸部単純X線写真および腹部CTにて腹腔内遊離ガス像を認めたことより消化管穿孔と診断,即日全身麻酔下に緊急開腹術を施行した.腹膜翻転部より15cm口側のS状結腸に径4cm大の穿孔を認めたが,同部およびその肛門側に腫瘍の存在は認めなかった.腹腔内洗浄後,S状結腸を一期的に切除・吻合した.病理組織学的には,憩室を認めた.
術後は概ね良好に経過し,第32病日に退院した.慢性腎不全合併例の緊急手術に際しては,周術期管理上細心の注意が要求される.今回,持続血液透析により安全かつ良好な体液管理が可能であった.腎不全合併例の周術期管理上,持続血液透析の有用性を再確認した.

著者関連情報
© 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top