日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
術後8年目に肝転移をきたした膵solid cystic tumorの1例
村岡 篤鶴野 正基國土 泰孝立本 昭彦香川 茂雄津村 眞
著者情報
キーワード: 膵臓腫瘍, 肝転移
ジャーナル フリー

1999 年 60 巻 12 号 p. 3272-3277

詳細
抄録

膵solid cystic tumor(SCT)手術後8年目に肝転移をきたした1例を経験したので報告する.
症例は79歳,女性. 1989年,膵SCTにて膵体尾部,脾合併切除術. 1997年5月,近医にて右季肋部の腫瘤を指摘され,当院来院する.腫瘤は,画像上6cm径大で,被膜を有しており,内部は出血を伴い,嚢胞性成分と充実性成分が混在し,肝下縁から突出するように存在していた.肝細胞癌あるいは膵SCTの肝転移と診断し,肝部分切除術を施行した.術後経過は良好で,病理組織検査にて膵SCTの肝転移と判明した.膵SCTは,若年女性に好発し,通常転移ないし再発がない予後良好な腫瘍とされているが,未だ不明な点も多い. SCTの転移が最も多いとされている肝転移について自験例を含め可及的に検索し得た本邦25例について集計し,若干の文献的考察を加えて報告する.

著者関連情報
© 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top