日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
直腸癌の穿通により発症したFournier's gangreneの1例
中尾 武稲次 直樹吉川 周作高村 寿雄増田 勉中野 博重
著者情報
キーワード: 直腸癌
ジャーナル フリー

1999 年 60 巻 12 号 p. 3293-3296

詳細
抄録

Fournier's gangreneは外陰部を中心とした壊死性筋膜炎である.急速に進行する細菌感染症で,ショックや呼吸不全を呈する重症例もある.早期に診断し,徹底的に切開ドレナージおよびデブリードマンを行うことが重要である.患者は51歳,男性.基礎疾患として糖尿病を有し,頻回の水様便,全身の浮腫で来院した.肛門周囲,会陰部から右腎部,右大腿部へかけての発赤,腫脹,疼痛がみられ,右臀部皮下組織は一部壊死に陥り膿瘍を形成していた.骨盤CTでは右腎部から直腸周囲までガス像を認めた.大腸内視鏡検査では直腸(RbRa)に2型の腫瘍を認めた.可及的に壊死に陥った皮下組織,筋膜のデブリードマンを行った.術後に行った注腸造影検査では腫瘍の潰瘍底より仙骨前面に造影剤の漏出がみられ,直腸癌の穿通による本疾患の発症の可能性が示唆された.

著者関連情報
© 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top