61 巻 (2000) 10 号 p. 2636-2641
症例は81歳女性で上腹部不快感を主訴に当科を受診した.上部消化管造影,内視鏡検査にて3型の腫瘍を認めた. CTにて所属リンパ節転移を認めたが他臓器転移は認めなかった.幽門側胃切除術,リンパ節郭清術(D2)を施行した.切除標本の病理組織検査にて内分泌細胞癌と診断された.術後18カ月後右側腹部腫瘤を訴えて再入院した.腹部超音波検査, CT, Gaシンチにて同部に腫瘍を認め,針生検で転移性の内分泌細胞癌と診断された.腫瘍切除術を施行し,病理組織的にリンパ節組織を認め,免疫組織学的検査(NSE, chromogranin A)に陽性で電顕で神経内分泌顆粒を認め,内分泌細胞癌のリンパ節転移の診断を得た.胃の内分泌細胞癌は予後が悪いが,われわれの経験した症例は,約18カ月後遠隔の右側腹部リンパ節に再発を認めたのみで肝転移は認めず外来通院中である.文献的考察を加え,内分泌細胞癌とカルチノイドとの鑑別を示し報告する.