日本臨床外科学会雑誌
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モノクローナル抗体Ber-EP4を用いた混合型肝癌の細胞起源に関する検討
渡邊 正志中崎 晴弘長谷部 行健滝田 渉大城 充戸倉 夏木下島 裕寛鈴木 康司小林 一雄野中 博子
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2000 年 61 巻 12 号 p. 3177-3182

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抄録

モノクローナル抗体Ber-EP4は中胚葉由来の細胞と上皮性細胞との鑑別に有用であるとされている抗体であるが,われわれが経験した混合型肝癌症例について, Ber-EP4,サイトケラチン染色(サブクラスNo.8)を用いた免疫組織学的検討を行ったので報告する.対象と方法:当科で切除した混合型肝癌8例(mixed type 5例, combined type 2例, double cancer 1例)を対象とした.結果:混合型肝癌におけるサイトケラチン染色は胆管細胞癌において肝細胞癌部にくらべ強染される傾向であったが, Ber-EP4染色では両部位の染色性に差がなく,陽性のものは両部位とも陽性,陰性のものは両部位とも陰性であった.考察:症例ごとの既存の肝障害,ウィルス感染の有無を考慮するとBer-EP4染色は混合型肝癌の起源を推測する際の指標になりうるものとも考えられた. Ber-EP4染色は肝内悪性腫瘍が原発性か転移性かを考慮する際にも有用な抗体と思われた.

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