日本臨床外科学会雑誌
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乳腺mucocele-like tumorの1例
免疫組織化学的検討を中心に
三田 圭子遠山 竜也山下 啓子大本 陽子岩瀬 弘敬小林 俊三
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キーワード: 乳腺mucocele-like tumor
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2000 年 61 巻 12 号 p. 3202-3205

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抄録

症例は47歳女性.検診にて右乳房腫瘤を指摘されて当科受診.画像診断上乳癌を否定できず,穿刺吸引細胞診を施行したところ粘液成分と異型性の乏しい上皮細胞を認めた.手術は乳腺部分切除術を施行し,術後の病理検査にて乳腺mucocele-like tumor (MLT)との診断を得た.乳腺MLTは,小唾液腺に発生する嚢胞性の良性疾患の Mucocele と類似の形態像を示す疾患である.最近,早期の粘液癌のような病変を含んでいたり非浸潤癌を伴うことがあるとの報告がされ,良悪性の境界病変と位置づける見方も出てきている.免疫組織学的に本疾患の悪性度を検討すると, ER弱陽性,変異型p53, Ki-67, C-erbB-2/HER2 はそれぞれ陰性であり,当症例の生物学的な悪性度はきわめて低いことが示唆された.今後多数の症例を用いた悪性度の検討が必要である.

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