日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
10年の経過観察中に顕性化した副腎褐色細胞腫の1例
濱口 真帆山下 啓子遠山 竜也岩瀬 弘敬山下 年成小林 俊三
著者情報
ジャーナル フリー

2000 年 61 巻 12 号 p. 3345-3349

詳細
抄録

症例は62歳の女性で, 10年前の臍ヘルニア手術時に左副腎に腫瘤を指摘されたが経過観察されていた. 1997年頃から糖尿病,高血圧を指摘され,同年11月に腹痛をきたし,臍ヘルニアの再発と再度左副腎腫瘤を指摘された.血中ノルアドレナリン(NAd),尿中ノルメタネフリン(NMN)高値で機能性腫瘍が疑われたが, MIBGシンチでは集積なく, CT, MRIでは内部均一で増大傾向がなかったため, 1998年1月に臍ヘルニアの再手術が行われた.翌年4月にはMIBGシンチでは集積がなかったものの,血中アドレネリン(Ad), NAd,尿中メタネフリン(MN), NMNのすべてが異常高値となったため,褐色細胞腫の診断で腹腔鏡下左副腎腫瘍摘出術を施行した.摘出した腫瘍は被膜形成良好で, 2.4×2.3×1.6cm大,割面は褐色で小嚢胞を認め褐色細胞腫と診断された.副腎偶発腫瘍の診断には,尿中代謝産物のスクリーニングが有用であるといえる.

著者関連情報
© 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top